中華民国政府で対中国大陸政策を担う大陸委員会(陸委会。日本の省レベル)の邱太三主任委員(大臣)が18日の記者会見で、中共は香港に対する「一国二制度」の約束を撤回したとして、これに遺憾の意を表明した。邱主任委員は、中共が台湾に対して行う「反独促統」(独立に反対して統一を促す)政策にはこのところ国際的なシンクタンクの多くが注目し、台湾海峡で将来軍事衝突が起きた場合の影響について盛んに議論していると指摘して、中共に対して台湾への軍事的な威嚇を停止し、台湾と実務的な対話を行うよう呼びかけた。
邱主任委員は、「現段階では『平和、安定、発展』が台湾海峡両岸にとっての最大公約数だと言える」と述べ、中共に向けて三つの呼びかけを行った。呼びかけの内容は以下のとおり。
一、
両岸それぞれの制度と価値観の違いを十分理解することでマイナスの受け止め方と誤った判断を避けること。台湾に加えようとする強引な政治的枠組みと対抗行動を放棄する。とりわけ台湾海峡周辺での軍事的な威嚇を停止し、両岸関係の発展を前向きかつ積極的に取り扱っていく。
二、
互いに尊重し、実務的な対話で問題を解決すること。2016年の総統就任演説の中で蔡英文総統は、両岸の対話と意思疎通には既存の仕組みを維持すると述べている。蔡総統はまた、1992年に「両岸両会」(双方の交渉窓口機関。台湾は海峡交流基金会、中国大陸は海峡両岸関係協会)が互いの了解、ならびに「共通点を探り、相違点は保留する」という政治的な思考を堅持して意思疎通と協議を行い、若干の共同認知と了解に至ったという歴史的事実を尊重するとした。わが方の両岸政策における立場は一貫しており変わっていない。双方はこの既存の事実と政治を基礎に、両岸関係の平和と安定的な発展をこれからも推進していくべきである。
三、
交流の実現に向けて双方が同等の努力をすること。「交流は双方向のものである」。新型コロナウイルスが広がってから、台湾と中国大陸はいずれも管制措置をとっている。しかし今後は人々の健康と福祉、ならびに両岸の前向きな交流を守っていくことを基礎として中国大陸側でも相応の調整と応答をすべきである。